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第38話
それから
彼の周りが少しずつ変わった。
夜の誘いも、飲みの誘いも
ほとんど受けなくなったらしい。
久しぶりに会った時も
その話を振ると
彼はあっさり言った。
「この際だから整理した。」
何をとは言わない、
「前みたいな付き合いもういいかなって」
軽い口調だった。
決意表明みたいな重さもない。
「誘われても断っている、飲みもしばらくいい」
理由を聞く前に
彼は肩をすくめる
「俺の問題。ケジメみたいなもん。」
それ以上、説明はいらなかった。
誰の名前も出ない。
過去を振り返る様子もない
ただ、今の選択肢だけが置かれている。
その言葉を聞いて、何故か胸がザワついた。
-ケジメ
それは、自分のための言葉なのに
自分とは無関係だとは思えなかった。
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