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第39話

逃げ道…なんて言葉を 初めてちゃんと考えた。 もしこのまま進んだら もし戻れなくなったら 考えすぎたせいか その夜、寒気が止まらなかった。 熱を測ると見慣れない数字が出る。 -考えすぎだ そう思いながら ベッドに倒れ込んだ どのくらい経ったのか、インターフォンが鳴る 1度…魔を置いて、もう1度 誰だろうと思う前にスマホが震えた。 「でれる?」 画面に彼の名前 玄関まではと、壁伝いに歩いて ゆっくり玄関までいく。 ドアを開けた瞬間 覗き込まれた顔が、少しだけ緩んだ。 「熱?」 開けた瞬間、額に伸びてきた手が冷たい。 そのまま力が抜けて床に座り込む。 「無理すんな」 それだけ言って 彼は靴を脱ぎ、俺の肩に腕を回し 寝室に連れていく。 布団に寝かせた俺を横目に キッチンに行き、水を持ってきた。 サイドテーブルにそれを置き 彼は俺のベッドのそばに座った。 当たり前みたいにそばにいる。 看病なんて言葉は使わない。 ただ逃げ道を考えていたことが 遠くなった。 ーダメだ 熱のせいにしてそう思うことにした。 彼が帰る気配は感じられない。 俺のそばから離れようともしない。

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