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第77話

今にも挿入してきそうなケイレンを何とか宥めて、ふらふらになりながら湯浴み室を出た。 ケイレンはやや不満そうな顔をしてはいるが、大人しくジュセルの身体をタオルで拭いている。勿論ジュセルは断ったのだが、ケイレンは一切聞き入れてくれなかった。 ジュセルの蒼い髪も優しく拭ってくれた。ケイレンの方が髪は長いのに、自分の髪から滴り落ちる水滴には気づかないのか。 ジュセルはケイレンの手からタオルを奪い取って、その頭にかぶせるとぐしゃぐしゃと力強く拭いた。 「ケイレンの方が濡れてるだろ」 「俺はいいの」 「よくない、風邪ひくだろ!」 頭に手をかけてぐいっと下を向くように促すと、素直にケイレンは頭を下げた。ジュセルは裸のまま、ケイレンの頭をごしごしと拭いた。何とか水が垂れないほどになったのを見てから、「じっとしてて」と伝えてキリキをそっと流す。少し時間はかかったが、さらりと乾かすことができた。乾いたケイレンの黒髪は艶々としていて、触り心地がよかった。さらさらと手で髪を梳きながら感心する。 「すご、ケイレンの髪気持ちいいな!普段、結んでるしあんまり触る機会ないから知らなかった」 ケイレンはやや顔を赤くして、ジュセルの手からタオルを奪い返した。 「‥ジュセルの髪だってそうだ。ちゃんと乾かして」 そう言って奪い返したタオルをジュセルの腰に巻き付けてくれる。そう言えば全裸でやってた、と気づいてジュセルも顔を赤くした。 「う、ん、ありがと‥」 なんとか返事をして自分の髪にもキリキで風を送って乾かした。乾かし終わるといつもと違って少し足元がふらついた。すぐにジュセルの身体をケイレンが支える。 「ありがと‥」 「いや、俺の髪まで乾かしてもらっちゃったからかな‥俺の髪長いし。ジュセルに負担かけちまったのかも」 そう言うなりまたぐんとジュセルの身体を横抱きにした。慌ててケイレンの首にしがみついたジュセルの耳に、ケイレンがちゅっと口づける。思わずびくりと跳ねた自分の身体が恥ずかしくて、ぎゅうっと首に抱きついた。その耳元でケイレンが囁く。 「寝台に行くからな」 「‥うん」 そのまま寝台まで運ばれてそうっと横たえられた。ケイレンの寝台はこの屋敷で一番大きい。膝と腕をついて上から自分を見下ろしてくるケイレンの瞳には、はっきりとした情欲が燃えていて凄まじく色っぽく美しかった。ジュセルはぼうっと口を開けてその顔を眺めていた。 「ジュセル‥」 「ん、」 ゆっくりと顔が降りてきて、深く口づけられる。「くち、あけて」と言われてジュセルは素直に小さく口を開けた。そこに食らいつくようにケイレンの口が覆いつくす。じゅるっと舌を舐められ、吸われる。歯列を辿り、上顎をくすぐられると下半身に熱がたまっていく。 ジュセルは自分の陰茎が完全に勃起しているのがわかった。そこにケイレンの大きく育ったものが当たって擦られる、お互いの陰茎が擦り合わされるのはたまらない快感だった。 「あ、ああっ」 「‥っ、ジュセル、きもちい‥?」 そう言いながらケイレンが陰茎をまとめて握った。大きな手で握られ陰茎に擦りつけられて、また甘い快楽が襲う。 「ああ、あ、ん、きも、ち、い‥」 「おれも。きもちい」 ぐじゅぐじゅと湿った音が響く。お互いもう先走りや(ホト)孔からの蜜で陰茎はぐちょぐちょに濡れている。そのぬるつきで一層快楽がかきたてられた。 「あ、だめ、ああ、イッ、イく、イくからっ」 「いいよ、イッてジュセル」 そう言いながらケイレンは陰茎を握る手の動きを速めた。ぐちゅぐちゅと淫らな音を立てて擦られる。快楽が体の芯からせりあがってくるのがわかる。口を開けたまま、喘いでいるジュセルにケイレンはまた口づけてその舌を啜った。きつく吸われ陰茎を扱かれて目の前がぱあっと白くなった。 「あ!イ、くぅ!イく、ああ!」 「ふ、ぅっ、」 ケイレンとジュセルが同時に達して精を吐き出した。ケイレンの手も二人の腹も、吐き出された精でべっとりと濡れている。荒い息をつきながらケイレンは寝台横の小机から布を取り出し、それらを優しく拭きとった。腹を拭われるとそれだけでびくんと震えてしまう。達した後の身体は敏感になっていた。 「‥きもちいい?ここ‥触っていい?」 そう言ったケイレンの指が、そろりと胸に触れた。ジュセルは少し身体を硬くした。 ほんの少し膨らんでいる胸は、ジュセルにとって受け入れられない身体の部分だった。どうしても日本での常識が未だぬぐえない自分が心の奥底にいて、その自分が「そこそこ男っぽい身体つきの胸が膨らんでるなんて気持ち悪い」と囁いてくる。 そっと胸を這うケイレンの手を、ジュセルは思わず握って止めた。ケイレンは無理に触ろうとはせず、ジュセルの掌を握り返して頬に口づけた。 「胸、触られたくない?嫌なのか?」 そう耳元で訊いてくれるケイレンの優しさに、その手をぎゅっと握り返してつっかえつっかえ返事をした。 「あの、俺、‥俺の、胸‥好きじゃ、ない、から」 ケイレンは少し目を見開いた。初めてジュセルの裸体を目に入れてから、なんて完璧な綺麗な身体なんだろうと感心していたケイレンには、よくわからない感覚だった。 「え?なんで?ジュセルすごく綺麗だよ。身体中、触りたいし舐めたいくらい」 「ばっ、何、おま」 思わぬ言葉にジュセルは羞恥でうまく口が回らない。そんなジュセルに覆いかぶさって身体中を囲うかのように抱きしめてくれた。 「だって、どこも綺麗でかわいいよ』 「‥なんか、胸変じゃない‥?」 「だからなんで?」 本当に不思議そうに尋ね返してくるケイレンに、ジュセルは恥を忍んで白状した。 「なんかさ‥こんな身体つきなのに、ちょっと、あの、胸が‥膨らんでるから‥」 ごにょごにょと胸元でそう呟くジュセルがたまらなく愛おしくなって、ケイレンは頭に何度も口づけて頬ずりした。 「なんでだよ?!そこがかわいいよ!それがジュセルの身体だろ?俺もう触りたくてこんなだぞ」 そう言いながらジュセルの手を取り、その右手は胸に当てさせその左手は股間に当てさせた。 右手から伝わってくる忙しい心臓の拍動、左手から伝わってくる昂りの熱。 ジュセルはそれらに触れて、胸の中にあった澱のようなものがふわりとほどけて溶けてゆくのを感じた。 ケイレンは、どんな俺でも、受け入れてくれる。 「‥‥そっか」 「うん。触っていいか?」 「‥‥うん、‥いっぱい、触って‥?」 ケイレンはがばっと起き上がってジュセルの顔を捕らえ、また深く口づけた。絡めた舌先から甘い唾液がしたたり落ちる。 そしてそのまま、ジュセルの胸に唇を寄せた。ふっくらとした薄茶色の乳首の先にちゅ、ちゅとつつくような口づけを繰り返す。そうされるたびに意志とは関係なく自分の身体がびくびく震えるのをジュセルは抑えられない。 だって、たまらなくきもちいいから。 「ふ、うう、」 恥ずかしい声が出そうなのを自分の手の甲を噛んで抑え込む。するりとその手を取り上げられた。 「いっぱい、声聞かせろよ』 低音のかすれたケイレンの声が頭の中に響いて、下半身がきゅうっと疼いた。知らず、また自分の蜜が|陰《ホト》孔から滲み出ているのを感じる。 ケイレンはぱくりと乳首を咥え込んで、舌先で転がすように乳頭を愛撫した。その刺激に耐えきれず、ジュセルは甘い喘ぎ声を出してしまう。恥ずかしいのときもちいいのとで頭の中がぐちゃぐちゃになった。目尻からほろほろと涙が零れる。何の涙なのか自分でもよくわからなかった。 「あ、ああ」 ジュセルの嬌声を心地よく感じながら、ケイレンは一心にジュセルの身体をかわいがった。 そっと手をジュセルの陰裂(レム)に伸ばし、その中に分け入る。(ホト)孔からあふれだしている蜜で、陰裂(レム)のまわりはぐちゅぐちゅに濡れていた。そのぬめりを指にまとわせて、まだ固く閉じている(ホト)孔をこじ開ける。 指先で円を描くようにして(ホト)孔の周りを撫でる。そうして時々、ぐ、ぐっと押し込むようにして解す。押し込むたびにジュセルの口から喘ぎ声が洩れた。その様子を見ながらいきり立つ自分自身をなだめ、ゆっくりとひらいていく。 硬くつぼんでいた(ホト)孔は、にゅるりとケイレンの指を迎え入れた。ぬるみの助けを借りて指を二本、中に滑らせぐるりと回すようにして内壁を擦った。 「ひぁ!ああ、だめっ」 「‥痛い?」 ジュセルは身体中を襲ってくる快楽にもうどうしていいかわからず口もうまく回らなかった。ただただ押し寄せる甘い感覚に翻弄されている。 「痛、くな、でも、あ、ああっ、きもち、い、いいぃっ」 顎を上げてうなされるように感じ入っているジュセルを満足そうに見つめたケイレンは、またぐぐっと(ホト)孔の中を擦った。少しぷくりとした硬い部分を見つけ、そこをぐりッと強く擦る。 「ふあああ!あ、あ、」 「‥ジュセル」 自分の指で感じ入っているジュセルがかわいくてたまらない。ぐりぐりと感じる部分を強く擦れば、ジュセルの身体は面白いように跳ねた。しつこくそこばかりを愛撫していると少しずつ緩んでくるのがわかった。 「‥挿れる、ぞ」 「あ、ああ、うん、うんケイレン、いれて」 ジュセルの足を大きく開かせ自分の身体を押し入れる。そして猛ったものを挿入しようとしたその時。 ピーーーーッと無機質な警戒音が鳴り響いた。 「嘘だろおい!!」

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