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第12話 〝招かれざる客〟も時には必要……
SideB 奈月
双子のシンクロニシティ。片方が怪我をすると、もう一方も同じ箇所が傷むと訴える現象もそのひとつだ。
星輝が部活──サッカーの試合中に捻挫したときは、応援席にいた奈月もうずくまった。
同様のケースは山ほどある。たとえば星輝の後孔にペニスがめり込んだ瞬間、奈月の菊座もめりめりと軋む。
ただしセックスに関しても感覚を共有していることは、星輝には内証。拷問にかけられても秘密厳守を貫く。
さすが初詣客が百万人規模を誇る神社だけのことはある。賽銭箱、というよりお賽銭を投げ入れるプールまでの道のりは遠く、小一時間かかってようやくたどり着いた。
奈月は、星輝と一緒に鈴の緒を引っぱった。手を合わせると、囁くように願い事を唱えた。
──今年もまたセイちゃんが、僕ひと筋でいてくれますように。
参拝客が境内を埋め尽くし、玉砂利を踏む音が雷鳴のように轟く。本殿から離れたとたん、星輝はダウンジャケットをはだけた。
「あー、人いきれで汗かいた。初詣はやっぱ、近所の神社がすいてて正解だわ」
「ブランドものの神社のほうが、ご利益があるんだってば。あっ、おみくじ引かなきゃ」
奈月は、ぶすったれた星輝を売り場へ引っぱっていった。
筒を振って突き出た棒に書かれている番号と同じ抽斗 からおみくじを取り出す仕組みだ。
べつべつの筒で運勢を占ったつもりが結局、
「セイちゃんも二一七? すごい的中率」
去年につづいて今年も番号が偶然、一致するあたりもはや神がかっている。ちなみに、ふたりとも大吉。
奈月の恋愛運は、といえば。
「良縁に恵まれるだって。幸先いいかも」
「仕事運も二重丸。うれしがらせでも悪い気はしないな」
参道の両脇には屋台がずらりと並び、買い食い天国だ。散財しまくって休憩スペースに落ち着いた。タコ焼きはもちろん、
「おまえは猫舌のくせして学習しないから、いっつも口の中を火傷するんだ」
星輝がフーフーしてくれたやつを、ぱくり。〝じゃれ合う綺麗めの双子〟は映 えるとみえて、盗撮されるのは慣れっこだ。今しも隣のテーブルから何食わぬ顔でスマートフォンが向けられる。
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