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第13話 楽園生活の退屈しのぎの玩具に……

 奈月は、さりげないカメラ目線で応えた。星輝の唇にへばりついている青のりをつまみ取って、ぺろりとサービスだってしちゃう。  肖像権の侵害だなんてケチケチしない。むしろ〝尊い〟〝拡散希望〟とハッシュタグをつけて、SNSに画像をアップしてほしい。  バズって全世界に仲よしぶりをアピールする──二十一世紀らしく国際宇宙ステーションにだって!  空は青く、季節外れのぽかぽか陽気で、屋台グルメは美味しい。丸椅子をずらして星輝にもたれかかった。 「幼稚園に入ったとき、僕らが並んで泥団子をこねたりなんかしてると分身の術みたいで他の園児が混乱するって、キリン組とパンダ組に振り分けられちゃったよね」 「新年早々、昔語りかよ。キモ」 「小学校の低学年のころも、おんなじ理由でクラスが別れ別れ。セイちゃんがいない教室は猛獣だらけの檻と一緒。くっついてると安心するのは暗黒時代のトラウマのせいなのかな」    シャラップと言いたげに、口に押し込まれたフランクフルトを、わざとねっとりと舐めあげるふうにかじった。  コーラにむせる星輝が可愛い。うろたえぶりがツボにはまって、もう、ひとかじり。  僕は猫をかぶるのが上手で、実はかなりの性悪なんだ。そう心の中で語りかけた。  星輝が奈月のボディーガードを任じて、害虫退治と称して恋の芽を踏みにじって回っていることくらい、お見通し。  だって、とチュロスをぱくつくのにまぎらせて呟く。いわば尻ぬぐいをするため涙ぐましいまでに奔走してくれるさまが愛しくて〝惚れっぽい奈月〟の役柄に徹しているのだ。  実際には恋愛映画を観ても、うっとりするどころか甘ったるい科白のオンパレードにむず痒くなるありさま。  だいいち星輝以外の人間に興味はない、恋に落ちる未来は訪れっこない。百パーセント、自信がある。  と、星輝が奈月の歯形をなぞるような形で、かじりかけのフランクフルトを頬張った。 「そういや最近『野々宮さあん』を、ぜんぜん聞かねえな」  そう世間話めかして、ぼそっと口にする。一瞬、瞳が狡猾にきらめいてカマをかけているのはバレバレだ。

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