8 / 9

『2日目』ー1

* * 二日目 * * 「おはよー」  と言っても、既に十一時近くでそれほど早くはない。  詩雨と遥人がなんとなく昨日の大広間にやって来ると、夏生とカイトもいてソファに座っていた。  昨夜料理が載っていたテーブルは、中央に一つだけになっており新しい飲み物が置かれていた。  冷たい水。緑茶、オレンジジュース、牛乳、コーヒーなどである。先に来ていた二人は既にそれぞれ飲み物を持っていた。 「おはよう、詩雨、ハル」 「おはよー、詩雨ちゃん」  詩雨はグラスに水を注ぎながら、 「あれ? リナは?」  リナの姿がないことに気づいた。 「昨夜から具合悪いみたいで、まだ部屋で寝てるよ」 「そうなんだ。大丈夫かな」 「珍しいな、リナが体調崩すなんて」  モデルとして何度も一緒に仕事をし、今は同じ事務所の仲間である遥人が言った。彼女が人一倍体調管理に心掛けていることを彼は知っていた。 「あとで柿沼氏に薬でも貰うよ」  社長の夏生も同様に思っているだけに心配そうに言った。 「それにしても……誰もいないなぁ……」  詩雨は自分たちしかいない大広間を見渡した。あれだけの人数がいて賑やかだったのが嘘のようだ。大広間だけではなく館全体が静まり返っている。鳥の声や蝉の声が聞こえるばかり。 「きっと朝方まで騒いでたから、今寝てるんじゃないかなぁ」  とカイト。 「そうかもな」  下界の夏は今日も猛暑だろうが、緑深いこの館の朝は実に涼しげだった。  詩雨と遥人は昨夜もいたテラスに向かった。昨夜は暗くて気づかなかったが、白木のテーブルとチェアが置いてあり、優雅な避暑地の雰囲気が更に感じられる。  グラスを持って移動して来た二人は、テーブルにグラスを置いてチェアに座った。 「気持ちいい風だなぁ」 「ほんと、涼しいですね。この時期エアコンなしで過ごせるなんて、東京では考えられない」 「なかなか雰囲気あるところだし、あとで柿沼さんに許可取って撮影させてもらおうか」  一頻りそこで寛いで室内に戻ると、ちょうど噂の柿沼が入って来たところだった。 「皆様おはようございます」  相変わらずの恭しさで挨拶をする。 「おはようございます」  一同もそれぞれ挨拶を交わした。 「一階の食堂でお食事のご用意をさせて頂きました。皆様どうぞお越しくださいませ」  朝食とも昼食ともつかない時間帯だ。そう聞いて皆自分が腹を空かせてることを知らされる。 「ありがとうございます」 「おや」  柿沼は広間にいる面々を見渡し、不思議そうに声をあげる。 「リナ様がいらっしゃらないようですが」

ともだちにシェアしよう!