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『3日目』ー1

* * 三日目 * *  相変わらず他の客人の姿もなく、蝉の声鳥の声以外はしない、外界と切り離された感のある館の朝。  詩雨、遥人、カイトの三人は、大広間のテラスに出、テーブルセットでぐったりとしていた。 「おはよう」  夏生が遅れてやって来て、今日はリナを伴っていた。 「あ、おはよ……リナ、具合はいいの?」  自分も体調が悪そうな顔をしていながら、リナの心配をする。 「うん……ちょっと良くなったみたい」  まだ本調子ではなさそうに答える。 「詩雨も……というか、みんな何でそんなにぐったりしているの?」  夏生一人がいつもと同じだ。 「なんか変な夢見て。ちゃんと寝た気がしない」  ふぁぁと大欠伸。  そんな詩雨を遥人はじっと見つめていた。 (昨夜のこと言うべきかな……) 「なに? 遥人」  遥人の視線に気づいた詩雨は不思議そうな顔をした。 「いえ」  多少違和感がしたとはいえ、ただの寝言だ。言うほどのこともないだろう。遥人は無理矢理自分を納得させた。 「で、カイトは?」 「僕は……」  自分を見ている面々の顔を一巡して。 「なんか、この家変じゃありません?」  情けない声を出す。昨日までの元気は何処へ行ったやら。 「どういうこと?」 「夜中に誰もいない筈の廊下にひたひたと足音がしたり……二階のバスルームで誰かに見られているような気がしたり……部屋の中でも……」    怪談でも語っているような声音で話す。 「誰もいないってことはないだろ」  本気で怖がっているカイトに遥人が冷たく言い放つ。 「実際、俺ら以外にも客はいるわけだし」 「それは……そうなんだけど、何だか『人』って感じがぁぁぁ」  語尾が儚く消えて行く。 「風呂だって部屋だって気の所為だ」  遥人が冷たく言い切ったのには理由(わけ)がある。本当は詩雨のことを考えても、やはり少し違和感を覚えるのだが、そこは詩雨の為に払拭してしまいたい。 「そうだよ、海」  詩雨もカイトに賛同したいところだが、余り考えたくないので遥人に同意した。 「え、詩雨ちゃんだって! 昨日!」 (おいっ何言う気だ) 「誰もいないのに――」  その先はわかった。恐らく昨日詩雨が沼で出会ったという人のことだろう。 「あ!」  いきなり遥人が叫んでカイトの口をバチンッと叩いた。 「いてっ」 「蚊が!」  勿論嘘だが。 「あの……カイトの言うことわかるような気がします」  言い出したカイトも気のせいだと思おうとしたところで、リナが発言する。 「え?」  皆の視線がリナに集まる。 「ここやっぱりなんか……私実はちょっと霊感というか……ここに来てからの体調不良はたぶん……」

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