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『4日目』ー8
「あれ……」
気絶したように閉じた瞳が、数秒後 にぱちりと開いた。
「オレ……風呂に入ってたんじゃ……」
気がつけばベッドの上。そして体内に違和感。遥人の猛った屹立に深々と貫かれていた。
「えーー! ハルっどういうことーーっっ」
「詩雨さん! 詩雨さんだぁぁ」
大人のそれで肉体を繋げていながら、子どものように喜びの声を上げる。遥人には珍しいことだ。
ぎゅっと愛を込めて抱き締める。
「ね、ハル、なんで、こんなことにっ」
口に出して言うのも恥ずかしい状況に、顔を真っ赤にしている。
「説明はあとで! 今は……いい? 詩雨」
その言葉の意味することを理解し、びくんっと身体を震わす。
――そして、再び口づけから始まった。抜くのも惜しいと思ったのか、繋げたままで愛撫をやり直した。
「あ……あぁ……」
『詩雨』の甘い声が零れる。本家本元の喘ぎはいい、と更に屹立が嵩増しする。
「やっと……ここにも触れられる」
詩雨のそれは、邪魔する『意識』がなくなり、すっかり勃ち上がっている。遥人はそれを大きな手で愛おしそうに包みこんだ。
「あ……ぃや……ハルぅそれだめだからぁ」
同じ『いや』でもその色が違う。詩雨の『いや』は『いい』だ。遥人も心の底から愉悦を感じ、詩雨の屹立をしごきながら激しく腰を動かした。
「詩雨っごめんっもうイク」
ズンっと奥の奥まで突き上げ、詩雨の体内に熱い飛沫を放った。その刺激で詩雨のそれも爆発し、遥人の手をしとどに濡らした。
「途中で消えたんですよ」
ベッドの上に二人で寝転んでいる。遥人は今までの経緯を掻い摘んで話した。
浴室で気を失っていたこと、桜乃が詩雨の中に入っていたこと。圭吾と間違えて――或いは気づいていたのかも知れないが――触れてほしいと言ったこと。そして、一か八かの荒療治でそれに応じたこと。
「『彼女』を抱いたわけじゃない、俺は『詩雨』さんを抱いたんだ。ずっとあんたの名を心の中で呼んでた」
「…………」
とんでもないことが起き遥人が大変だったのは、よくわかった。しかし、自分の意識が眠っている間に、あれこれ口に出すのも恥ずかしいことをされ、居た堪れない気持ちになる。顔の熱さは取れないままだ。
「たぶん、俺のしたことにめちゃめちゃ驚いたんでしょうね。ずっと本気で嫌がってました――まあ、詩雨さんの『いや』とは違いますよね」
からかうように笑った。
ばしっと遥人の裸の腹に平手が飛んだ。
「いてっ」
そう言ったが硬い腹は言うほど痛くはないのだろうと、何故か悔しくなる。
「恥ずかしいこと言うなっ――あれ」
自分の左手にきらりと光るものが見えた。
「指輪が、二つ?」
一つは小指に。圭吾が桜乃にあげたもの。
もう一つは――。
繁々と薬指に嵌められたプラチナの指輪を眺めた。
「これって……」
「それ、俺が……いつか……タイミング良く渡せたらと思って、いつも持ち歩いてた。こんなシチュで渡したくはなかったんだけど」
悔しげに口をへの字に曲げている。
「えっと……」
ここは喜んでいいのか、驚いていいのか。知らないうちに嵌められていた指輪に動揺していた。もう既に癖になりつつある小指の指輪弄りをしながら、もじもじしている。
その弄っていた指輪が、ころんっとベッドの上に転がった。
「あ……」
二人同時に声を上げた。顔を見合わす。
「なんか、軽々と外れちゃった」
「俺の愛の勝利ですね!」
めちゃくちゃ嬉しそうにガッツポーズをする。
「これ」
遥人が詩雨の左手の薬指に光る、自分の愛が込められた指輪にちょいと触れる。
「お守り代わりに、ここ出るまで嵌めておいてくださいね」
「え、あ、うん」
悦に入っている遥人とは裏腹に、詩雨の脳内では疑問がぐるぐると回っていた。
(ここを出るまで? どういうこと? オレにくれたんじゃないの?)
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