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『5日目 或いは最終日』ー4
なんだかんだあったことは短時間では語れない。
「何言ってんの、あたし二日目からずっといるわよ。何度も連絡したのに全然繋がらないし〜。それに『ごとう』邸ってなに? 『ごとう』じゃなくて――」
その甲高い声は全部周りにも聞こえていて「え?」となっているところだった。
「え、じいちゃん、それ本当?」
夏生だけが違う相手の言葉に「え?」となっていた。
「あー……わかった。取り敢えず東京戻るー」
妙に棒読みで締め括って電話を切った。
「みんな――驚かないで聞いて欲しいんだけど」
「驚かないで」という前置きは大抵、「驚いてね」って言っているようなものだ。
「じいちゃんが鎌田氏に紹介したの、『五島』じゃなくて、小さい島の『ことう』だったらしいよ」
「え?」とか「は?」とか一斉に口にする。
「あれ? 今カマオが……」
スマホを見ると通話が切れていた。弾みで切ってしまったような気がしないでもない。取り敢えず夏生の話を聞く。
「けど、確かにうちの親戚筋に『五島』家といのもあったらしい。偶然二家は同じ県に別邸もあった」
「あった?」
「そう。『五島』は戦前は爵位を持った家柄だったけど、空襲で東京の本邸が燃えて御夫婦ともに亡くなったそうだ。息子がいたが戦死、残った娘も別邸の沼で戦後入水自殺したそうだ。その別邸は最後まで執事をしていた男性が預かっていたらしいが、彼が亡くなったあとはそのまま放置され――」
しんと静まり返った中で怪談のように語られる。皆の顔が次第に青褪めていく。
「――十年ほど前の豪雨で土砂に埋まったとか……じいちゃんは小さい頃にここでその執事に会ったことがあるらしい。でも、自分は小さすぎて記憶がなく、他の話も親戚が集まった時の噂話で知っていただけだとか」
「…………」
すぐには何も言葉が出てこなかった。
「あの時言ってたお父様に良く似てる……ってあれ、父さんのことじゃなくて、じいちゃんのことだったのか……?」
と夏生が呟けば、
「じゃあさ……あの柿沼さんとか……」
と詩雨。
「あそこにいた他のお客さんとか……」
リナも言葉少なに。
「考えてみたら……おかしいよね……」
カイトのあとを継いで遥人がとどめ。
「夕方以降にしか現れないし、いくら広い屋敷でもあの人数入る部屋なかったよなぁ」
「わ〜〜その情報いらなかったわ〜〜」
全員が恐る恐る窓の外を見る。
白い西洋風の館があるはずの方向へ。
そこに見えたのは――山肌の見えた斜面と、草に覆われた変に盛り上がった土地があるだけだった。
「おーまぃんごーーーーっっ」
カイトの叫びが狭い空間を震わせた。
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