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見放されたオメガ2

「俺らが(かん)(おけ)に入っちゃ取り立てができねえんだけど」 「調理師として昇給し、ボーナスもいただいています。生活を切り詰めて……」 「まだ、わかんねえの?」  背の高い、中級アルファである男に顔を(のぞ)き込まれる。  ニコチンの強烈な臭いと不快なフェロモンに鼻が曲がりそうだ。 「おまえに残された道はふたつ。ひとつは(じん)(ぞう)や歯、髪や血なんかを売る道。もうひとつはアルファの変態ご用達の店でアナルセックス込みのSMプレイをする道」 「そんなのどっちも嫌です! やりたくな……」  男は、僕の顔の横にある壁へ(こぶし)を叩きつけた。  足から力が抜け、腰を抜かし、床に座り込んでしまうと男たちが下卑た笑みを浮かべて見下ろした。 「親に売られた人間に人権なんざあるわけねえだろ。おまえ、ヤクザの商売道具になったんだぞ」  目の前が暗くなるのを感じながら、これからどうしようと、そればかりを考えてしまう。  龍の入れ墨を入れた男が腰を落とす。ケーキや、おもちゃが()しくてショーウィンドウをベタベタ触る子どもみたいに、タバコの臭いが染みついた手で髪や頬、唇をしきりに触ってきた。 「なあ、律くん。おまえ、死ぬまで痛いことをされたいのか?」 「やです。痛い思いはしたくない」 「だったらオメガらしく、アルファの男どもに(しっ)()を振って、うまい汁を吸えよ。最初はきつくても次第に気持ちよくなってクセになるさ。だって、おまえは生まれながらアルファを誘惑する性奴隷なんだから」  口をつぐんでいれば腕を取られ、強引に立たされる。 「会計は俺が済ませとく。辞表を出したり、新しい仕事を覚えるのに時間も、金もかかるからな」 「赤ん坊ができても安心しろよ。堕胎のうまい産婦人科を紹介するぜ」 「慣れたら俺らにもサービスしてくれよ。全身ザーメンまみれにしてやるからさ!」  そうして男たちのバカ笑いが聞こえ、ベルの小さな音が鳴り、木製のドアがバタンと閉まった。

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