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 やがて商館の扉が開き、王子ら一行が姿を見せた。  人々のあいだからどよめきがあがる。  陽の光に映えて眩しい、白い装束を纏った貴公子が姿を見せる。  イテュール王国第一王子、カシウス・イテュイエだ。  昨日からここメールの地へ視察に来ていた王子は、側近の者に促されて商館のまえに集まった群衆へ手を振った。  若い娘たちがきゃあっと黄色い歓声をあげる。若い娘でなくとも、その場にいた老若男女は誰もが見目麗しいカシウス王子の姿にほうっと息を吐いて釘付けとなった。  ジェレミーもそういった彼らと同じく――いや、彼らよりもっと引き寄せられるかのごとく見入っていた。  首筋にそって切りそろえられた黒髪はつややかに美しく、秀でた額の下には絵筆で描いたかのような凛々しい眉とプラム色の瞳が輝く。細身ではあるが均整のとれた長身の体躯と、優雅な所作。  もっとも印象的なのは眼差しだった。顔かたちが非常に整っているせいで余計にそう見えるのか、彼の眼差しは冷たく硬い。自身をひと目拝もうと集まった民たちをまえに微笑みひとつ浮かべず、型どおりに手を振っている。  いかにも生真面目で、それでいて尊大な態度だった。生まれながらの支配者とはこういった者を指すのだろう。  見目良い男は見慣れているつもりであったジェレミーも息を忘れてカシウス王子を見つめた。  ――間違いない。王子はアルファだ。  ジェレミーの胸にひとつの確信が芽生える。  知らず、こくりと咽喉が鳴った。

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