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「箱入りにしちゃあ堂々とした様子じゃないか?」
「馬鹿言え。手を振るだけなら俺にだってできるぜ」
ジェレミーの言葉にノーランはすかさず頭を振った。
さらには王子を真似て、わざとしかつめらしい表情でひらひらと手を振ってみせる。ゼンマイ仕掛けのような動きをするノーランの姿にまわりの者たちが一斉に吹き出した。
その様子に気付いた王子付きの騎士にぎろりと睨まれ、ジェレミーはノーランの横腹を小突く。
「おい、やめろよ。目立ってるぞ」
「はいはい、わかってるって」
「箱入りだろうが世間知らずだろうがそのときがくれば即位されるんだ。いまのうちにご機嫌をとっといて損はないんじゃないのか」
「そりゃそうだけどよぉ……なぁ知ってるか、今回の視察の真相」
わかっていると言いながらやめる気はないらしく、ノーランは声を落として続けた。
まわりにいた者たちも興味津々とばかりに顔を寄せてくる。ウワサ話は人々にとってなによりの娯楽でもあるのだ。
ジェレミーとて興味がないわけじゃない。目は王子を追いつつも、ノーランの話に耳を傾ける。
「どうやら身内に尻を叩かれたらしいぜ、カシウス殿下」
「身内に? どういうことだ?」
「供の者たちから聞いた。――世継ぎの君であらせられるのならば城に籠ってばかりいないで領地の視察くらいこなしてみてはってね。それでようやっと重い腰をあげて遥々このメールまでおいでなさったってわけさ」
「ははぁ、なるほどね」
その話を聞いてまわりの者たちも、さもいわんといった顔で頷き合った。
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