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*   *   *  翌日、隣家のブロア邸では予定どおりに夜宴が開かれた。  広間での食事が終わると、宴は松明の灯りが幻想的に夜を照らす庭先へと場所を移した。この日のために気合いを入れて整えられた庭先で、主賓たるカシウス王子はブロア邸で一等豪華なソファに座って酒をたしなんでいる。  ノーランの家はもともとこの地を開拓した一族の末裔で、それがそのまま自治権を認められて代々領主としてこのメールを治めていた。王家との血のつながりもなく、ここがなにもない小さな村だったころからいるためかブロア家の人たちは総じてのんびりとしており、王都でなにが起きても我関せずといったところだ。  しかしながらあちらから来てしまったものにはそうも言っていられない。  ノーランの父ロベール・ブロア男爵は今回の視察で少々、いやかなりの緊張を強いられていた。慣れないことをすると誰でもそうなる。 「おい。おまえの親父さんはどうかしたのか」 「はあ? どういう意味だ」  そこかしこで松明の灯りが揺れる庭の片隅、ジェレミーは盛装の幼馴染をつかまえて声をかけた。

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