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「ああ、そうだな、そうだったな。だからといって見過ごすのか、このまま? おまえんち、ガラス職人の親戚でもいたっけか?」 「ガラス職人? なんでそこでガラス職人が出てくるんだよ」 「このままフランティーヌを殿下の寝室へと送りこむなら、そのことを街の人たちに言いふらしてやる。ブロア卿のせいで彼女はひどい目にあった、家に石を投げつけろってな、思いきり扇動してやるが?」 「なっ……おまえ、なぁ!」  おそろしいことを言い出したジェレミーにノーランが目を剥く。  残念ながらここメールでは田舎領主のブロアよりクラヴェルの家のほうが影響力は強いのだ。ジェレミーがいま言ったことを実行すれば、ブロア邸の窓という窓は石を投げつけられ無残に割られ、明日からノーランは街を歩けなくなるだろう。  幼少のころよりともに育ったジェレミーが本気でそんなことをするとは思っていなかったが、フランティーヌのことについてはノーランも気になっていた。  父のブロア卿に考え直すよう頼んだところ、 『よく考えてみろ、第一王子のお手付きともなれば褒美として相当な金が転がり込んでくるんだぞ? フランティーヌにとっても悪い話じゃないだろうが』  と一蹴されてしまった。  彼女自身、無理矢理連れてこられたわけではなく同意のうえでいてもらっている――と聞かされていたが、いまの彼女の沈痛な面持ちを見ればそれもあやしく思えてならない。

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