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 そうして行き着いたのが、同じく金持ちのアルファに嫁ぐということである。  いまでもクラヴェルはじゅうぶん金持ちではあるが、金はあって困るものではない。  あればあるほどいい。  少なくともないよりは全然いい。  金持ちといっても平民であるから高望みはしていなかった。どこぞの下級貴族か、実家と同じような大商人か。そういいつつもそのような金持ちのアルファがそこらに転がっているはずもなく、ジェレミーはいまだに番もなく独り身であった。  今夜はそんなジェレミーに転がり込んできたまたとない機会である。逃すわけにはいかない。 「おまえ本気かよ……」  頭を抱えたノーランにひとつだけ頼み事をした。  それを聞いて泣きそうな顔になっているノーランを残し、ジェレミーは一旦自宅へと戻り急いで支度を整える。  毛先だけクセのある榛色の髪は香油でツヤを足し、目蓋にはごく薄く色粉をのせた。非常に細かな金粉混じりの最高級品である。普段からあでやかな色を保つくちびるには薄く蜜蠟を塗るだけにして、素材の良さを活かした。 「ふむ……我ながら顔がいいな」  アルファのようにひと目で注目を集めるような華やかさはないものの、一般的にオメガの容姿も良いとされている。

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