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 ジェレミーは自宅を出ると宴のあと静まり返った隣家へとまるで我が物顔で忍び込んだ。勝手知ったるという足取りでカシウス王子の泊まっている客間へ向かう。 「おいとまれ。何奴だ」  客間のまえまで進んだとき、その扉を守るふたりの騎士に行く手を阻まれた。  日頃から交流のあるブロアの使用人たちはここまですんなり通してくれたが、さすが王子殿下直属の騎士ともなれば警備は厳しい。 「失礼いたします。夜半にこちらのお部屋へ伺うよう言いつかった者ですが……」 「殿下はすでにおやすみになられている。立ち去れ」  案の定、にべもない返答が寄越された。  王子の眠る部屋ともなればそりゃあ防備は固いだろう。  しかしすでに手は打ってあった。 「こちらはカシウス殿下がお泊りになられているお部屋で間違いございませんよね? わたくしはたしかに側近のヴィドール様からこちらへ参るよう言いつかっておりましたが――」  しおらしく振る舞いながら、ジェレミーは顔の半分を覆っていたフードを取り払った。  はっと息を飲む音が聴こえ、内心でほくそ笑む。

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