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第二章 27.
第二章
男の腕のなかで目覚めたジェレミーはあくびをひとつするとのそのそと起き出した。
脱ぎ散らかした衣服を億劫そうに拾って身に着ける。身体の節々は痛むが、昨日までの熱っぽくてだるい感覚はない。なにより身を焦がすような高揚感も性的興奮も波が引くようにして治まっていた。
「先に出るぞ」
ひとことだけ告げて立ち上がる。
まだ眠っていると思っていた相手はすかさず腕を伸ばしてきた。
「放せよ、しつこい」
「相変わらずつれないな、ジェレミー。少しは媚でも売ったらどうだ」
「おまえが俺んちより金持ちになったら売ってやる」
きっぱりとそう言い放つと、あわれ相手の男は撃沈した。
さっさと帰りやがれ、と蹴り出された足を華麗にかわし、ジェレミーは部屋を出る。まだ明けやらぬ空の下、重い腰をさすりながら帰途についた。
数日前、いつものように発情期 の時期がきて、本格的に動けなくなるまえに連れ込み宿へと駆け込んだ。そこから便りを送り、駆け付けてきた相手と発情期が治まるまで行為に耽った。
ジェレミーは時折そうやって発情期の時期をやりすごしていた。部屋でひとり悶々とするよりよほど楽だったし、相手にも不自由しなかった。
さっきまで一緒にいた男も、親密な関係のうちのひとりだ。街でも数少ないアルファの独身男性。年は少し離れているが、まあまあ相性がよくて続いている。
ただあくまで〝まあまあ〟であるため、番になろうという気は起きない。ほかに何人かいる相手もそうだった。誰と寝ようと〝まあまあ〟以上にならず、それは今回も同様だった。
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