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このままでは「王子をみだりにたぶらかした」という、自分にとって(ついでにいえば相手にとっても)大変不名誉な罪を着せられてしまうおそれがある。
いまこそ懐の金貨を出すべきだろうか。
冷や汗をかきながらジェレミーは懸命に考えた。
地位のある方々への賄賂など、きっと王城では日常茶飯事のはずだ。
実際、クラヴェルでも袖の下は贈り贈られてもいる。ここで自分が袋いっぱいの金貨を差し出し、「何卒ここはこれでひとつ……」とやっても拒まれることはあるまい。
だが、しかし。
ジェレミーは考えた。
こんな馬鹿げた話でこの金貨を使うのはもったいないな、と。
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