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「おまえも知っていると思うが、当時王位継承順位第一位だった王弟殿下は幼少のころよりご病気がちで、現在も南の高地で静養中の身。とてもじゃないが政 をおまかせできる状態ではなくてな。それで国王陛下の六番目の姫君エマ王女殿下がお生まれになった際、このまま直系男子が生まれないか、生まれたとしても王孫まで待たなければならず、それでは次代まで少々時間が空く――そのふたつを憂慮した結果、当時十歳のルイーゼ王女殿下の婚姻相手として有力貴族のご子息で王女と年齢の近いニコラウス卿においでもらったというわけだ」
「ははぁ……で、めでたく直系男子であり世継ぎの君たるカシウス殿下がお生まれになったあともそのままニコラウス卿はこの王城に居座っている、と」
「こら、口を慎め。……しかしまぁそういうことだ。あまり大きな声では言えないが、そういう経緯もあってカシウス殿下とは相性がよくない。ついでに言うとオメガに対しても人一倍敏感だ。あまり接触は持たないほうが身のためだぞ」
言われなくても、とジェレミーは心のなかで呟いた。
ほんの一瞬すれ違っただけでもわかる、あれはオメガにとってあまりよくないタイプのアルファだ。オメガを人間扱いせず見下し、嫌悪する。こういったアルファは番や運命の相手なんてものもはなから信用していない。
それになにより、王家のややこしい問題には首を突っ込まないに限る。
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