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 ――もう少し、こう、なんとかならないのかあの王子殿下は。  城に滞在できるよう求めたのはこちらだが、不要な波風はできるだけ立たせたくない。夜のお相手を務めることは、王城内というウワサ好きしかいないような場ではどうせ隠し切れはしないしそこはもうしょうがないと割り切ってはいるものの、これではカシウス自ら波風立たせているようなものだった。  自分が立たせたいのは波風ではなくカシウスそのものである。そこのところを間違えないでほしい。  カシウスの様子に気付いたヴィドールがさりげなく彼の視線を遮ってくれて正直ほっとした。そんなに見られていてはこちらまで落ち着かない。  そのあともこれといって問題なく執務は続いた。ときには数人いる文官らと話し合いを行ったりもしていたが、カシウスはどうにもうわのそらといった受け答えばかりしていた。  初日からこうである。  ジェレミーは本当に、心の底から、この先のことが思いやられた。  実は今日執務室に赴くまえ、ヴィドールとの打ち合わせの際に『夜のお相手をするのは殿下がもう少し慣れてから』と言われていた。  そのときはまぁ王子殿下が相手ともなればそう簡単にはいかないのだろうなとか思っていたのだが、これではその夜が一体いつになるのやらわかったものではない。もはや亀さえ同情しそうな歩みである。  しかしたとえ亀に同情されようとも投げ出すわけにはいかなかった。カシウスから『やっぱり貴様は不敬』と認定されたら自分はなんらかの沙汰を下される身なのだ。  それはなんとしても避けたい。そうするとこの状況は甘んじて受け入れなければならなかった。

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