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50.
そんなジェレミーの反省など知るべくもないカシウスからは、しかしどうしたことか一向に返事がなかった。
返事がなければ寝台には上がれない。ブロア邸のときのように好き勝手するわけにはいかずしばらく待ってみたが沈黙が続くばかりで、カシウスは身じろぎすらしなかった。
え? 寝た?
まさかぁ。
「あのぅ……カシウス殿下」
「……」
「もしやもうおやすみでいらっしゃいますか?」
「……」
「カシウス殿下?」
耳を澄ませばかすかに息をする音が聴こえた。
寝息ではなく、文字どおり息を潜めているような気配が伝わってくる。
起きているのなら返事くらいしてくれたっていいのに。
わざわざ閨に呼びつけておいて――それが本当に当人の意思かはわからないが――無視されたんじゃあかなわない。
その後少し待ってみても反応はなかった。これ以上声をかけていいものかどうかもわからず、ジェレミーは途方に暮れた。
さすがに想定外である。
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