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直前になって気でも変わったか。それならそれで仕方ない。そういうときだってあるだろう。
特に今回は事情が特殊だし、こちらと違って彼は決して乗り気だったわけでもない。
そんなことは自分もわかっていたつもりであったが、いざこうなってみれば思った以上に落胆した。
せっかく、綺麗に支度してきたのに。
残念な気持ちと、土壇場になって自分を拒んだカシウスに対する呆れがない交ぜとなり、ジェレミーはほうっとため息を吐いた。
寝台でぴくりと動く気配がして、耳をそばだてる。
王子殿下に対しため息を吐くなど不敬であろう。これでカシウスが怒ってくるのであればこっちのものだと思って、わざと聴こえるようにため息を吐いたのだ。とにかくなにか取っ掛かりさえあればこちらのペースに持ち込める。
けれどもしばし待ってみてもそれ以上の反応は寄越されなかった。
ジェレミーはあきらめて立ち上がる。
室内を見渡せば、壁際に人ひとり余裕で横になれる大きさの長椅子があり、そこで休むことにした。オイルランプを消し、手探りで長椅子まで進む。
自分の部屋に戻るという選択肢もあるにはあった。けれど、もしカシウスの気が変わることでもあれば――という気持ちのほうが大きかった。
羽織ってきていたガウンを肌掛け代わりにして横になる。ぬくぬくとあたたまりはしないだろうが我慢できないほどでもない。
結局そのあとは何事もなく、「同じ部屋の、別々の寝床で寝るだけ」という夜を過ごした。
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