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 慣れない寝心地のせいでなかなか寝付けず、ジェレミーが眠りに落ちたのはだいぶ夜も更けたころだった。深夜から明け方にかけてはやはり冷え込み、夢うつつのままガウンの下の四肢をぎゅっと丸めて眠った。  朝を迎えて目が覚めたとき、こわばっていたはずの四肢から力は抜けて、片脚はソファからはみ出していた。素足に当たる陽射しのあたたかさで目覚めたジェレミーは二、三度まばたきをしたのち、がばりと跳ね起きる。  その肩から、自分が羽織ってきたものよりずっと分厚くて上等なガウンがずるりとすべり落ちた。 「あ、あれ……てか、殿下……っ」  振り向けばカシウスの寝床はすでにからになっていた。  綺麗に整えられた寝台と自分の身体にかけられた豪華なガウンを交互に見遣り、寝ぐせのついた髪をくしゃくしゃにかき回す。 「なんだってんだよ、もおぉ……」  このガウンはカシウスがかけてくれたのだろうか? ――そうだ、そうに違いない。  カシウスを起こしにきたヴィドールであれば、別のものをかけるか、容赦なく自分のことも叩き起こしただろう。昨夜役目が果たされなかったことは一目瞭然であるからして。  先に目覚めたカシウスは、寒そうに身体を丸めていたソファの上の自分に気付き、自らのガウンをかけてくれた――そこまでは想像できた。  けれど、彼がなぜそのような行動に出たのかはわからなかった。  単に罪悪感からだろうと思いはするものの、閨の相手を務めるだけの、ただのオメガにそこまでの情をかけるものだろうか。

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