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 少し考えてみても答えは出ず、ううぅんと唸りながらカシウスのものである分厚いガウンに顔を埋める。ほのかに鼻腔をくすぐる彼の匂いに思わずすんすんと息を吸い込んだ。頭の芯が痺れる感覚がして、昨夜火を点されないまま放っておかれた身体に燻ぶる熱の気配を感じ、あわてて引き剥がす。 「違う違う、なにやってんだよ俺は――!」  いつ世話係の侍女たちが入ってくるかもわからないのに、こんな朝っぱらからひとりで欲情するなんてどうかしている。  名残惜しく感じる気持ちを振り切り、カシウスのガウンを手放した。いそいそと部屋を出る。  ひと目を避けながら城の自室へ戻っていると、猛烈にみじめな思いが湧き上がってきた。 これまでジェレミーは相手に困ったことがなかったし、拒まれたこともない。それで余計に落ち込んでしまった。  しかも正面きって拒まれるならまだしも、いないことにされるのはつらい。  ――少しくらい、楽しみにしてくれていると思ったんだけどな。  それくらいの自信はあった。  ここに来てからは数日待たされたものの、なにしろ一度はコトに及んでいる。あの夜のことをカシウスが綺麗さっぱり忘れて一片たりとも思い出せないというのではない限り、なんだかんだ愉しむ気はあるんでしょ――そう思ってもいたのだが。  どうやら甘い考えだったらしい。  昨夜返事すらもらえなかったことに加えて、そういった自身の詰めの甘さも悔やまれた。

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