54 / 133
54.
その日は七日に一度の休息日で、ここにきてはじめて何の予定もなくゆっくり過ごせる一日だったが、部屋で休んでいてもちっとも気は休まらなかった。
鬱々とした気持ちで昼まで過ごしたのち、ジェレミーはがばりと起き上がった。
「っあー、もう! やめやめ! 辛気臭いったら!」
こういうときは、無理矢理にでも動くに限る。
せっかく王都にいるのだし、部屋に籠ってばかりではもったいない。ジェレミーはヴィドールに外出許可をもらって城下へと繰り出すことにした。
城下の街は今日も活気に満ちていてにぎやかだった。街の喧騒に包まれ、たちまち気分も晴れてゆく。
いくつかの店先を興味深くのぞいたのち、ジェレミーはふと思い立ち、一軒の仕立て屋の扉をくぐった。気分転換に一着仕立ててもらうのもいいかもしれない。そう思ってのことだった。金持ちの道楽? ああそうだとも。
そこではすばらしく品の良い着こなしをした老紳士が手練れの笑みを浮かべて迎えてくれた。……が、しかしジェレミーの姿を認めるやすぐさまその笑みはかき消えた。いかにもお呼びでないといったふうに「なにかご用事でも?」と目をそらす。
ともだちにシェアしよう!

