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61.
そう思いながらもその夜はなかなか寝付けず、迎えた翌日の休息日。
ジェレミーは気晴らしに城の庭園を散策していた。
色とりどりの花が咲き乱れる庭園内もこの日はほとんどひと気がなかった。フラフラと歩き回り、遠目に茶席用のあずま屋を見つけて少し休むかと思ったときのこと。
その、あずま屋のある方向から剣を交わし合う音が聴こえてきて、足をとめた。
「なんだ――?」
聞き間違いかと思って耳を澄ませてみたが、やはり間違いなく剣と剣が斬り合っている音だ。
なぜこんな場所で……一体誰が……?
咄嗟に思い浮かんだのはあのニコラウス卿の横顔だった。
彼は相性が悪いと噂されるカシウスはおろか国王陛下まで軽んじるような発言をしていた。もしやなにか物騒なことでも起きているのでは……と悪い想像が頭をよぎる。
ジェレミーの見える範囲に人はいない。ごくりと唾を飲み込み、思い切って音のするほうへと近づいていった。近づくにつれ、剣の音に混ざって人の声も聴こえてきた。
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