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「あれは……カシウス殿下の声?」
音と声はあずま屋の裏側あたりからしていた。
あずま屋の周囲は丈の高い生け垣が整えられていて、裏側は見えないようになっている。ジェレミーは正面から生け垣の脇へと回り込み、あずま屋の裏側を覗き込む。
そこにいたのはやはりカシウスであった。
カシウスはシャツ一枚という軽装で、近衛兵を相手に一心に剣を振るっている。見たところどうやら剣の鍛錬のようだ。
あずま屋の裏側はちょっとした広場のようになっていて、端のほうには庭師の使う道具類や剪定を終えた枝木のくずが積みっぱなしになっている。
まさかそのような場所でカシウスが剣の鍛錬を積んでいるなぞ誰が予想できようか。
ジェレミーは驚いて立ち尽くし、そのせいで気づかれてしまったようだった。
「――っと、殿下、少々お待ちを」
ジェレミーから見て正面、カシウスの相手を務めていた講師役らしい兵がそう言って構えを解いた。
こちらに背を向けていたカシウスが、その兵の視線を追って振り返る。
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