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「それに――」
さらにカシウスは言葉を続ける。
手許に置いた剣を見つめる横顔には憂いが滲んでいた。
「俺が剣の鍛錬を積んだとて何の役に立つのかと裏で笑う者たちもいる。世間知らずの箱入り王子がお遊戯でもしているのか、とな。わざわざそういった者たちの目につくところでやることもなかろう」
その言葉を聞いて、ジェレミーはなにも言えなくなった。
彼はやはり、自身がまわりからどう思われているのか知っているのだ。
知ったうえで、地道に努力を続けている――カシウスの思いがけない一面を知り、すぐには言葉が出てこない。
「おい、なんとか言え」
「えっ、あ、はい……えっと、……あっすみません、お注ぎします」
ぼうっとしているあいだにカシウスがまた水差しを持ち上げたので、ジェレミーは急ぎあずま屋のテーブルに近づき給仕を申し出る。
世話は無用だと言われたばかりではあるが、さすがに王子殿下が手酌で水を飲むのを見過ごすことはできない。そう焦って伸ばした手が、水差しを持つカシウスの手と触れ合った。途端にカシウスが動揺し、あやうく落としそうになった水差しを寸でのところで受けとめる。
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