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 先ほどの話といい、いまの姿といい、今日ははじめて知ることばかりだ。これまで自分が見てきたのはカシウスのほんの一部分に過ぎなかったということだろう。  そのことに気づき、ついまじまじとカシウスの横顔を眺めやる。  しかしながらカシウスのほうはその視線を誤解したようだった。 「このあいだは悪かった……と思っている」  いかにもバツが悪そうな顔でそう告げられ、ジェレミーは一瞬首をかしげたもののすぐに「ああ!」と思い出す。  彼は、呼び出しておいてなにもしなかったあの夜のことを言っているのだろう。  花とカードですでに謝罪は受けていたのに。こういうところは本当に生真面目な人だ。 「気にしないでください。ああいうのは体調だとか気分によっても左右されますし……それにしても、世継ぎの君というのも大変なんですねぇ」 「あたりまえだ。おまえたちのように気楽に生きているわけではないのだ」 「うーん、僕らもそう気楽に生きてるわけじゃあないんですが……」 「わかっている。言葉のあやというやつだ。気を悪くしたのなら謝る」  再び謝罪され、ジェレミーはポリポリと頭を掻いた。

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