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こう素直に頭を下げられるとなんだか落ち着かない。
せめて相手が世継ぎの君でなかったらまだ平気だったと思うが、なにをどうしようが相手は世継ぎの君である。きっといまの自分たちを見たらヴィドールなんかは泡を吹いてひっくり返ってしまうかもしれない。
「……おまえは、」
と、そんなことをごちゃごちゃと考えていたら、おもむろにカシウスが口を開いた。
はい? と彼のほうを振り向けば、少し言い淀んだのち、先を続けられた。
「メールの視察のとき、おまえは俺のまえに現れなかったな。クラヴェルの商館に行ったときにも、ブロアでの夜宴にも……その、あとにしか」
「あっすみません……」
「う、いやまぁいい。よくはないが、いま聞きたいのはそこではなくてだな。つまり――出てくるなと言われていたのか?」
あぁなんだそのことか。
カシウスが言いにくそうにしていたわけを察して、ジェレミーはまたひとつ彼のことを見直した。
考えてみれば自分たちはまだ知り合ったばかりで、身体の関係はあるものの互いのことはなにも知らないといってもよかった。
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