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手探りの会話のなかで彼はいま、オメガである自分に対し最大限に気を払い、歩み寄ろうとしてくれている。そう気付いたらうれしくなった。
「いいえ、そのようなことは言われていません。あの日に限らず、僕は両親からも弟からもそういった類いのことを言われたことはありません。あの日、僕が殿下に拝謁しなかったのは僕自身の判断です」
「それは、弟がいるからか? クラヴェルの跡継ぎはあの場にいたリュッカ・クラヴェルだと聞いた」
「ええ、そうです。立派な跡継ぎがいるのに出来損ないのオメガの兄がのこのこ出ていくわけにはまいりませんから」
「おまえは、出来損ないには見えない、が……」
「はい、おそれながらいまのは謙遜です」
「自分で言うか……まったく、なにを食べて生きてきたらこのような人間が出来上がるのだ」
ジェレミーの物怖じしない言動にカシウスは呆れていたものの、普段より砕けた口調からは親しみのようなものが滲んでいた。
人知れず笑みを浮かべ、ジェレミーは続けた。
「同じですよ」
「うん?」
「僕も殿下と同じような……いえ、さすがに王子殿下とまったく同じような豪勢な食事ではありませんが、ともかく食べるものにそう変わりはないと思います。それでもまだ僕のことが怖いですか?」
「こっ、怖くなどない! 俺がいつおまえのことを怖がったと――」
「あはは、すみません。てっきりそうかと」
「そうじゃない。そうじゃなくて、俺はただ、」
「オメガに慣れていないだけ――なんですよね?」
そう訊ねると、カシウスはうろうろと目を泳がせた。
ここでそれを肯定するのはプライドが許さないのだろう。
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