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 この日、ふたりの距離がほんの少し縮まったと感じたのは自分だけじゃなかったのだろう。  翌日から、カシウスの態度はさらに軟化した。執務の最中でも話しかけられるようになり、それに伴い文官らのジェレミーに対する振る舞いも変化していった。  ときには意見を求められることまで出てきた。そこに関しては方便であったはずが、カシウスは考えを改めたようで、せっかくいるのだからとジェレミーの商人としての一面を活かすことにしたらしい。ジェレミーにも異論はなかった。  ――とはいえ、まだまだ先は長い。  なんといっても自分のやるべきことは閨での行為にある。そこまでいかねば意味がない。このままクラヴェル商会頭目の息子としての仕事を終えたところで「はいお疲れ様でした。それはそれとして、裁判です」となったんじゃあ無駄働きである。  次の休息日を二日後に控えた夜、ジェレミーは与えられた自室でひとり思案していた。前回は機会がなかった。閨には呼ばれないと行くことができず、呼ばれたとしてもなにもせず夜が明けたこともあった。  これでは駄目だ。いまのやり方では共寝まで一年くらいかかりそうだし、そこまでのんびり待つつもりはない。その間ずっと「不敬罪に問われる可能性がある」という状態で過ごすのは精神的にもよろしくないだろう。  それに、そろそろ次の発情期の時期が迫っていた。  自分が発情期を迎えてしまえば、殿下にも影響が出るかもしれない。なるべくならそれは避けたかった。また情緒不安定になられても困る。

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