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 いたたまれない時間を過ごし、ひととおりの執務を終えたカシウスに礼をして退出しようとしたら呼びとめられた。 「あー、ジェレミー、その、よかったらこのあとお茶でも――」  さっきまでの態度はどこへやら、目を泳がせながら誘いの言葉を口にする。  ジェレミーはすでにぐったりと疲れていたが、断る理由もなかった。「ではのちほど」と微笑みかけようとした頬が引きつった。 「これは……駄目だな」 「ええ、駄目ですね……これは」  退室後、追いかけてきたヴィドールと柱の影で話し合う。  なにも言わないうちから意見は一致していた。  あの酒宴の夜以降、カシウスはまるでタガが外れたかのようにジェレミーを閨に呼んでいる。はじめのうちはジェレミーだけでなくヴィドールもカシウスの変化を歓迎し、よくやった、ようやくついに、と手を叩いてよろこんだものだった。  だがいまは、少々違っている。  夜だけならまぁ許容範囲と見守っていたヴィドールも、連夜に渡る主君の閨事にくわえて昼間の執務にまで影響が及ぶにあたり、頭を悩ませるようになっていた。 「まさかこういうふうになられるとは……ジェレミーおまえ、やりすぎたのではないか?」 「なんですか、やりすぎって。いやまあ多少はやりすぎた自覚もありますが」 「待て、なんの話をしている。こっちは真剣なんだぞ」 「僕だって真剣ですよ」

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