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 ノーランは夕刻をまえに城から辞そうとしていた。  幼馴染の顔を見れば里心もつく。少しばかりの名残を惜しみ、ジェレミーは一泊くらいしていけと勧めてみたが、すげなく断られてしまった。 「なんだよ、遠慮するなって。この部屋ならおまえ程度の男がひとり増えたところで気にはならないし」 「おまえ程度? いまおまえ程度って言った?」  ノーランのことはカシウスも視察の際に見知っているし問題ないだろう――そう思って勧めてみたのだが、当人の反応はこちらの予想とは違っていた。 「無理だろ。いくら俺程度の男でもいまのおまえの部屋に泊まろうものなら俺にまで累が及びそうだし……なあ」 「そうか。それは残念だ。おまえくらいなら大丈夫だとは思うけど」 「なあ? あのな? なんていうかその、言い方? みたいな? ちょっと気をつけてもらっても? みたいな??」 「いやぁ残念だ」  見送りのため、ノーランと連れ立って城門までを歩く。  陽が傾きはじめた空の下、気心知れた相手とまたひとときの別れとなれば一抹のさびしさを感じてしまう。  ノーランはそういったジェレミーの気持ちを敏く汲んだかのように、「しかしまぁ」と一段声を張り上げた。 「この調子ならもうそろそろ帰れるんじゃないか? あとはカシウス殿下がもうひと皮むけたらって感じか?」 「そうだなぁ……あ、殿下はすでに皮むけてるぞ、それはもう思いきり」 「不敬が服着て歩くのはよせ」 「反省だけはしている」

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