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 体調不良だという自分にもカシウスはたくさんの見舞いの品を贈ってくれた。それは彼と距離を取るための嘘ではあるが、立場が逆転したのに知らんぷりするのは心苦しい。  それにやはり、心配だ。 「失礼いたします。カシウス殿下、お加減はいかがでしょうか?」  カシウスの寝室に赴けば、彼は寝台に臥せっていた。  半分くらいは頭も掛布に埋もれている。医薬師の姿はなく、身の回りの世話をする侍女たちも部屋にはいなかった。  薬湯茶でも持参すればよかったかなといまさらながら思っていたら、ごそりと掛布の下の身体が動いた。 「……ジェレミーか?」 「はい、ジェレミーでございます。先ほどヴィドール殿から殿下の具合がすぐれないと伺いまして、僭越ながらお見舞いに――」  言いながら、寝台へと近付く。  起き上がれないほど体調が悪いのだろうか。  だとしたら早めに退出したほうがいいのかも――と、思っていたそのとき。 「出ていけ。おまえに用はない」  こちらの言葉を遮って、冷たい声が放たれる。  思わず足をとめ、カシウスが寝ている寝台をまじまじと見入った。  これはどうしたことだろうか。距離を取るようになって以降、あんなにじれったそうにしていたのに、また最初のころに逆戻りしてしまったかのような声だった。  疑問を抱きつつも声をかけるのはためらわれた。体調を崩しているときに他者への対応が疎かになってしまうのは仕方のないことだし、それほど悪いのならばこれ以上ここにいても気を遣わせてしまうだけだろう。  そうでないのならば、無駄に刺激してしまうだけだ。  顔色だけでも確認できたらよかったけれど、掛布を剥いでまでやることでもない。

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