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 オメガの習性に、巣ごもりというものがある。  アルファの相手の衣服をかき集め、その名のとおり〝巣〟を作ってそのなかに籠るという習性だ。発情期中にアルファとの性行為が為されない代償としてこのような行いをするという。  自分にとって好ましいアルファの匂いに包まれると安心するのだろう。これまでジェレミーはほとんど意識したことがなかったけれど、たった一枚のシャツからカシウスの匂いを感じ取り、巣ごもりの意味がはじめて理解できた。  けれどもそれは、今回に限っては、悪い方向で作用した。  束の間の安息が破られたのは、城の者たちが寝静まった深夜のことだった。  かちゃり、と扉を開ける音がしてジェレミーは目を覚ました。  ランプのオイルが切れたのか、室内はまっくらでなにも見えない。扉の隙間から頼りない灯りがひとすじ差し込んでいるのがかろうじて見てとれた。  扉の鍵は閉めたはずなのに、なぜ――とまでは、思考が及ばなかった。発情期の熱と、覚醒直後のためにぼうっとした意識のまま寝台の上で目を開けた。  するりと部屋へ入ってきた大きな人影はまっすぐにジェレミーの休む寝台へと近付いてくる。  見上げても暗くて誰だかわからなかった。  ただ、ジェレミーはカシウスのシャツを抱いたまま寝ていたから、鼻先にはカシウスの匂いが残っていた。

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