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101.
発情期を迎えた最初の夜、自分を襲ったのはニコラウスだ。
だがその事実をいまここで話すわけにはいかなかった。事実を話してしまえば、カシウスに塁が及ぶおそれがある、そう考えたからだった。
ニコラウスとカシウスは相性が悪い――以前、ヴィドールはそう言葉を濁していたが、王位継承順位の経緯からみればあれは対立関係にあると同義だろう。
だからこそニコラウスは自分を襲ったのだ。
番ではないとはいえ、自分の庇護下にいるオメガをほかのアルファの男に寝取られるなど屈辱以外のなにものでもない。その屈辱をカシウスに味わわせるために――
それにもし自分がニコラウスの名を挙げ無実を訴えたとしても、あの男は白を切るに違いない。自分とニコラウス、どちらの言い分が信用されるかは火を見るよりも明らかだった。
「一応訊いておく。――これはおまえの意思でそうしたのか?」
重ねて訊ねられ、ジェレミーは力なく首を横に振った。
そうするしかなかった。
手当たり次第に城内の男を誘惑したなんて事実はないし、ニコラウスだって自分から誘ったわけでは決してない。
だが、番のいない発情期中のオメガの誘引物質 は、同じく番を持っていないアルファに否応なく作用する。自らの意思でもなければ事実でもない話について真実を告げるわけにもいかず、ジェレミーはただ黙ってうつむいた。
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