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102.
ヴィドールはさらに続けてなにか言おうとしたようだったが、それをカシウスがとめた。
「そのような不埒な者をわが元に留め置くことなど許されぬ」
温度というものを一切感じさせない、氷雪のように冷たい声だった。
おそるおそる見上げた先、カシウスの顔は青ざめていた。
「これはいままでの働きのぶんだ、持っていけ」
こちらを睨みつけたままのカシウスが、そばに控えるヴィドールへ向けて小さく頭を振った。
ヴィドールはなにか言いたげな表情をしつつも主君の命に従い、重そうな皮袋を持ち出してくる。
執務机にごとりと置かれたその皮袋には金貨が詰まっていた。
「――っ」
目の前がまっくらになったかのようだった。
急に狭くなった視界で、茫然と金貨の詰まった皮袋を見遣る。両脚も震えて力が入らず、自分がいま立っていられるのが不思議なほどだった。
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