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103.
「どうした、要らないのか」
感情のない声でたたみかけられ、意味もなく頭を振った。
返事をしようとしても口のなかはカラカラに乾いて、声が咽喉にへばりつく。どうにか絞り出した声は掠れていた。
「い、え……あの、」
「受け取れ」
「で、ですが、」
「遠慮は無用だ、受け取れ――受け取って、さっさと消えろ!」
「……っ」
きつく睨まれ、怒声を浴びてジェレミーは恐怖でびくりと全身が引きつった。
すくみそうになる足をなんとか動かし、執務机へ近付いて袋を手にする。それからねじまき人形のようなぎこちない礼をするとカシウスのまえを辞した。
「――淫売め」
執務室の扉を閉める間際カシウスが呟いた言葉に、ぐらりと頭のなかが揺れたようだった。
どうしてこんなことになってしまったのか。
ニコラウス卿に陥れられたのだ。そんなことはわかっている。だがそれよりも、カシウスに罵られたことのほうがショックだった。これまで何度か言われたことのある非難の言葉とは比較にもならないくらい、怒りと侮蔑の念がこもっていた。
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