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114.
まんまと嵌められた自分が情けない。もし自分がオメガでなかったら、発情期中でなかったら、あのような目にも合わずに済んだのかもしれないのに――
「……い、おい、ジェレミー!」
「ん……ああ、」
束の間考え事に耽っていた意識をノーランに引き戻される。
幼馴染は心配そうにのぞき込んできた。
「大丈夫か? 顔色が悪いぞ」
「いや……うん、大丈夫だ。それよりおまえ、行かなくていいのか」
「城にか? うぅん、それなんだがな――」
王の危機に際し、臣下たる各地の領主と騎士たちが駆け付けるのは当然の務めだ。
もとはこの地一帯を治める地主であったノーランの家も、いまは代々の当主が男爵の爵位を与えられて領主となっている。当主ロベール・ブロアの息子であるノーランも現在騎士の称号を賜っていた。
「いまのところウチの親父は様子見するみたいでな」
「なんだと? 様子見ってそんな、」
「だって叛乱たって今回のは内輪揉め、身内のいざこざみたいなもんだろ? おまえにこういうことを言うのは酷だとわかってはいるんだがな、よその国から攻められたわけでもないし、王と王妃両陛下ともご無事であらせられるみたいだし……」
平和でのどかなメールの地で暮らしていたらそういった考えにもなるだろう。
ただでさえブロアの家は王家とのつながりもなく、これまで平穏無事にやってこられたのだ。我先にと城へ赴かなくても、決着がついたあとに駆け付けたって誰も気にはすまい。
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