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117.
王都への街道を早駆けの馬に乗って駆け抜ける。
ひとりで馬を駆っていると、どこからか呼ばれているような感覚を覚えた。
声ともつかぬ声か――いや、感覚としかいえない。
胸の奥、一番深いところに忍び込んだ指先が、そこから紡ぎ出した一本の絹糸を控えめに、けれどしっかりと手繰り寄せるようにしてジェレミーを呼んでいた。
呼ばれた先になにが待ち受けているのか――。
不安に押しつぶされそうになりながら、ジェレミーはただ一心に、その先にカシウスがいることを願い、先を急ぐ。
さいわい、たどり着いた王都は争いに巻き込まれた様子もなく落ち着いていた。
街の人たちに手あたり次第話を聞いてみたが、城はことが起きた直後から出入りを封じられたらしく、城内の様子を詳しく知る者はいなかった。
気ばかりが焦る。このまま手をこまねいていては来た意味がない。しかしどうしたものか――と、ジェレミーが迷っていたそのとき、突然ぐいと袖を引かれた。
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