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「お達者そうでなにより、旦那」 「ジャン……!」  にひひ、と首をすくめ、城の厨房係だったジャンがジェレミーを路地へと引っ張ってゆく。 「よかった、おまえも無事だったか!」 「ええ、そりゃもう、おかげさまで……ところで旦那、見たところおひとりのようですがなにか助けは必要で?」ジャンは忙しくなくあたりを警戒しながらも揉み手を忘れない。「こんなときに王都に戻ってくるなんざ、ってね」  その様子に気付いたジェレミーは苦笑を浮かべ、どこか憎めないこの男に金貨を手渡した。  情報の対価としては安いものである。  隙をみて城から脱出したというジャンの話では、カシウスは城の地下室に幽閉されているらしい。  それを聞いてジェレミーはひとまずほっとした。  だが、あまり時間は残されていないのでは、とすぐに思い直す。  ニコラウスは自身の領地から配下の騎士たちを秘密裡に呼び寄せ、城を制圧したそうだ。 引く気はないのだろう。彼にはあとがない。ならば手段を選んでいる余裕もあまり残されてはいまい。

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