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121.
「わたしはここに着いてすぐ、カシウス殿下の名代として近隣の領主たちに助けを求めた――が、見てのとおりだ。ただちに駆け付けてきた者は少ない。みな様子見しているのだ……クソ!」
ヴィドールがくやしげに顔を歪める。
沸々と、ジェレミーの胸になにか熱いものがこみ上げてきた。
この熱には覚えがある。商売で逆境に立たされたとき、なにがなんでも巻き返してやろうというときの、あの胸の熱さだ。
ごくりと喉が鳴る。
心を決めて、ジェレミーは申し出た。
「ヴィドール殿。再度お触れを出してください」
自分にはなにがある。
自分になにができる。
剣も弓もない自分に、はたしてなにかを成す力はあるのか――?
その疑問に対する答えは、ここへ来て決まった。
「様子見している連中にはもうひと押しが必要であると考えます。ゆえに、召集に応じた者には褒賞を弾むと、そう保証してやればよいのです――この戦い、わがクラヴェルはカシウス殿下につきます」
「殿下につくって……ジェレミー!?」
「そのかわり、騒ぎが治まったあかつきには東方からの絹糸の取引はクラヴェルが独占させてもらいます。褒賞金の支払いはその利益から出すことにすれば双方損はない」
知らず、手に汗をかいていた。
父に無断でこれほど大きな交渉をするのはジェレミーも初めてだった。
しかしいまやらずしていつやるというのだ。
「それではご不満ですか? ならばぼくの命も賭しましょう、どうぞなんなりとお申し付けください――カシウス殿下を救うためならばこの命惜しくはありません」
凄絶な覚悟のうえにきっぱりとそう言い切った。
息を飲んだヴィドールはいつものように渋面で頭を振った。
「おまえは本当に、肝が据わっている――」
最高の褒め言葉をもらってジェレミーはにこりと微笑んだ。
差し出した手は震えていたが、ヴィドールはなにも言わずに握り返してくれた。
商談成立である。
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