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「われらの勝利はもう決まったようなものだ。閣下とてこれしきでどうこう言うような器の小さな御方ではない、そう思わんか」  その騎士の言葉に、もうひとりも渋々といった顔ながら頷いた。  断られたら断られたで懐の金貨を出そうと思っていたが、そうならずに済んだようだ。カシウス救出を決行するまでまだ少し時間がかかるゆえ、不審に思われるような金の使い方はできるだけしたくなかった。  許しを得て地下室へと足を踏み入れる。地下へと階段を下りながら、ジェレミーは複雑な思いに駆られていた。  さっきの様子からして、ニコラウスは配下からの信も篤いのだろう。そのような人物がなぜこんな暴挙に出たのか――それを考えるとやるせなかった。  彼はきっと、こういった形でしか自らのアルファ性を示威できなかったのだ。  自ら王位に就くことでしか、自身の望みは叶えられないと彼は考えたのだろう。  惜しい人だ。自分がそのように思うのは傲慢かもしれないが、ジェレミーはそう考えずにはいられなかった。  地下室への階段を下りた先、そこにいた門番の騎士に事情を話し、カシウスのいる部屋へ案内してもらう。  部屋といっても鉄柵で囲われた、いわゆる地下牢のような場所である。こんなところにカシウスは幽閉されているのかと思えば胸が苦しくなった。

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