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 それから彼は自身のまわりに集まった味方の騎士たちを見渡すと、その剣を胸に掲げ、朗々とした声で宣言した。 「これより王と王妃両陛下をお救い奉る。わが父母(ちちはは)に対し不遜極まりない横暴をなした逆賊ニコラウスは討たねばならぬ。正義は正統なる世継ぎであるこのカシウス・イテュイエにあり。わが栄えある騎士たちよ、いざゆかん――!」  瞳に闘志を漲らせ、堂々とそう申し渡したカシウスの姿に、急ごしらえで集まった騎士たちが意表を突かれたかのようにして息を飲む。  もしかしたら彼らは、ジェレミーが提案した褒賞目当てに集まっただけの者たちかもしれない。それどころか、これまで『世間知らずの箱入り王子』と呼ばれてきたカシウスのことなどはなから頼りになぞしておらず、信用もしていなかったのではなかろうか。  しかしここにきて、彼らの表情は一変した。  世継ぎの君のもとに(つど)った騎士たちは、己が忠誠を自身の剣へと宿して掲げ、咆哮をあげて応える。  ここにはもう、『世間知らずの箱入り王子』はいない。  その姿を見ていたジェレミーの胸に熱いものがこみ上げる。  そんなジェレミーへ、カシウスが告げた。 「ともに来てくれるか、ジェレミー」 「ぼくも、ですか!?」 「おまえがそばにいてくれるだけでわたしは進んでゆける。大丈夫、必ず守る」  澄んだプラム色の瞳が、いまは滾る血を映して紅く染まっていた。  見惚れるほどにうつくしいその瞳に引き寄せられるようにして、差し出された手に手を重ねる。  右手で剣を振るい、左手に愛しい者を携え、カシウスは先へと進んだ。

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