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134.
「ジェレミー、わたしは、」
「はい?」
行く手を阻む敵をひとりふたりと斬り倒し、主塔への道を進みながらカシウスが口を開く。
「本当にひとりきりになったのは、たぶん、初めてだった」
「え――?」
見上げた彼の横顔にはかすかな苦笑が浮かんでいた。
「生まれてこのかた、わたしはずっとまわりの者たちに守られ、大切にされ――甘やかされてきた。自分にはその価値があるのだと言い聞かされて――」
カシウスは大きく振り下ろされた敵の剣を切り結ばずに片手でかわし、体勢を崩した相手の尻を蹴り飛ばす。
カシウスの腕に守られたジェレミーは、ほとんど動くことすらしなくて済んだ。
「自分でもそう思っていた。バース性が判明し、アルファだとわかってからはいっそうその思いも強くなった。自分はほかの者たちより優れていて、何事にも動じない完璧な人間であると――、ええい、邪魔だ、どけ! ――だが、ジェレミー」
またひとり斬って倒し、カシウスは先へと進む。
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