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 カシウスの魅力はこういうところだと思う。  まわりにかしずかれ、それが当然と思いつつも生真面目さは失わず、努力も怠らない。  彼はきっと、良き王になるだろう――漠然ながらもそう思った。 「くそ、しつこいっ……ノーラン、先走りすぎだ! 本隊からあまり離れるな! ――ジェレミー、おまえに言っておきたいことがある」 「は、はいっ、なんでしょう!?」 「ご心配には及びません、殿下ッ! この先の露払いはこのノーラン・ブロアにおまかせください!」 「なかなかやるではないか、頼もしいな! ――ヴィドール! ヴィドールはいるか! ……ジェレミー、わたしはおまえを愛しく思っている」 「カシウス殿下……!」 「ありがたきお言葉です、殿下! わたくしメール領領主ロベール・ブロアの嫡男ノーラン・ブロア、ノーラン・ブロアは殿下の御為にこの身を尽くし」 「あああぁうるっさいなもう! ノーランおまえちょっと黙ってろよ、いまいいとこなんだから!」 「殿下、こちらはすべて制圧しております! お怪我はありませんか殿下!? ああっこんなところにすり傷が!」 「ヴィドール殿も~~~~~!」 「このような傷、怪我のうちに入らぬ。みなも無事か!? よし、この先の王の間にニコラウスはいる! ――ジェレミー」 「は、はいっ」 「この戦いが終わったら、わたしの(つがい)になってくれ」 「はいっ…………はい!?」 「いざ、参るぞ!」  カシウスの告げた言葉にジェレミーは目を見開くが、それ以上驚く間もなく王の間の扉が開け放たれる。

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