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その言葉を聞いたニコラウスは、くつくつと肩を揺らした。
「見苦しい、だと? ははは! まったく、言うに事欠いて……見苦しいのはどちらだ、カシウス。かしこくも王の間たるこの場にオメガなぞと連れ立ち現れるなど、とうとう気でも違えたか!」
もはや建前も捨て去りニコラウスが嘲笑を響かせた。
カシウスの身体から、炎のごとき殺気がゆらりと立ち昇る。いまや彼の瞳は深紅に染まってニコラウスを見すえていた。
「ここなる者はわが運命をともにする者。何人 たりとも侮辱はさせぬ――」
言いながら、カシウスはジェレミーを背後へと庇った。
上背のある、その広い背中を目の前にしてジェレミーはにわかに息を詰まらせた。
もう、自分には手出しができない。
下がっていろ、と小さく告げられ、ジェレミーは頷くことしかできなかった。
「剣を抜け、ニコラウス。貴様の腐った性根ごとわが剣の露と成り果てるがいい――!」
その言葉に応じてニコラウスが剣を抜くや、カシウスが斬りかかった。
ガキン、と重い斬撃の音が王の間に響く。
背丈はほとんど変わらないが、体格はニコラウスのほうがたくましい。一度合わさった剣をニコラウスは難なく退けた。カシウスはすかさず次の一撃に移り、攻め立てる。
「ほう、思ったよりやるではないか……!」
カシウスの腕が立つのは先ほど自分の眼で確かめていたが、いざ斬り合いを目の前にすればニコラウスの剣も洗練されたものだとすぐにわかった。
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