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140.
「……くっ、ぅ――!」
痛みに顔を歪ませてうめく。
誰もが動けず、あたりに静寂が満ちた。
カシウスも、剣を突き立てたニコラウスも、呼吸を忘れたかのようにして互いの眼前にその身を擲 ったジェレミーを見つめていた。
ほんのわずかな間を置いて、その静寂に、さりさりと玲瓏たる音が鳴る。
ジェレミーがおそるおそる目を遣った先――そこには腹を破って流れ出た鮮血のかわりに、金色の輝きが淡い光を放っていた。
「な、に……!?」
ニコラウスの咽喉からひゅうっと息が漏れる。
金貨だ。
ジェレミーが肌身離さず懐に仕舞っていた金貨が盾となり、ニコラウスの剣に突き刺されて床にこぼれ落ちている。
カシウスはその機を逃さなかった。
渾身の力を振り絞り、ニコラウスへと剣を突き立てる。
不意を突かれたニコラウスは咄嗟に身を引こうとしたものの、カシウスの剣からは逃れられなかった。
「詰めが甘いな、ニコラウス――!」
にやりとくちびるの端をつり上げ、カシウスが不敵に笑う。
ニコラウスはぐらりと身体を傾かせ、そのままゆっくりと床に倒れていった。
ジェレミーの腹からこぼれ出た、金貨の海のなかへと。
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