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尚孝の場合 - 4
事後処理をして自分も軽く身体を拭い、腕の中に力の抜け切った身体を抱え込んでいるうちに、とろとろしてしまったらしい。
咽たような咳の音で目が覚めた。
慌てて、丸まろうとするその背を撫でる。
「気が付いた? 水、飲む?」
そう言って身体を起こしたら、逆に毛布にもぐりこまれた。
ああ、これは。
「か、和実さん?」
「…っせぇ……馬鹿」
聞こえてきたのは、掠れた声。
どうしよう、多分、この後こんこんと説教されるんだけど、もの凄く嬉しい。
オレの愛撫で声が出なくなるまで喘いでたってことだろ。
頬が緩むのが止められない。
嬉しいから、毛布ごと抱きしめた。
「和実さん、愛してる。大好きだよ」
「加減しろっていつも言っているだろう! 俺は頭の悪い奴は、嫌いだ!」
「でも、気持ちよかったでしょ?」
「お前は若いからいいだろうけど、こっちの歳考えろっつてんだよ!」
咳き込みながら文句を言って、力の入らない手でポスポスとオレを殴る。
この反応は何度か経験済みだ。
感じすぎて意識がなくなるまで乱れたことが恥ずかしくて、照れまくってる。
殴られてるところは痛くない。
これっぽっちも。
もう、可愛くて愛おしくて、たまんなくなる。
「どうしよう、和実さんが可愛くて……」
またしたくなった……って続ける隙もなく、和実さんが言いきった。
「しない!」
え。
「ぅえええええ?」
「今回はもうなし。次、会うまで、しねえ。俺がもたん」
ぎゅう、と顔を隠したまま抱き着かれて、オレはますます困った状態になる。
「次も、会ってくれるんだ?」
「あげ足とんなよ。会うに決まってるだろ」
お前は俺の何だ? と、返された。
ぼすっとみぞおちに拳をたたきこまれて、息がつまる。
それでも、照れ隠しだってちゃんとわかるから。
「次が今夜でも、していい?」
「はぁ?! 盛りの付いたサルか、お前は!」
和実さんはますます暴れ始める。
時々「うっ」とか、つまったりしてるのは、腰に響いてるからだろう。
窓の外は、朝の気配が漂い始めてた。
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