4 / 6

尚孝の場合 - 4

事後処理をして自分も軽く身体を拭い、腕の中に力の抜け切った身体を抱え込んでいるうちに、とろとろしてしまったらしい。 咽たような咳の音で目が覚めた。 慌てて、丸まろうとするその背を撫でる。 「気が付いた? 水、飲む?」 そう言って身体を起こしたら、逆に毛布にもぐりこまれた。 ああ、これは。 「か、和実さん?」 「…っせぇ……馬鹿」 聞こえてきたのは、掠れた声。 どうしよう、多分、この後こんこんと説教されるんだけど、もの凄く嬉しい。 オレの愛撫で声が出なくなるまで喘いでたってことだろ。 頬が緩むのが止められない。 嬉しいから、毛布ごと抱きしめた。 「和実さん、愛してる。大好きだよ」 「加減しろっていつも言っているだろう! 俺は頭の悪い奴は、嫌いだ!」 「でも、気持ちよかったでしょ?」 「お前は若いからいいだろうけど、こっちの歳考えろっつてんだよ!」 咳き込みながら文句を言って、力の入らない手でポスポスとオレを殴る。 この反応は何度か経験済みだ。 感じすぎて意識がなくなるまで乱れたことが恥ずかしくて、照れまくってる。 殴られてるところは痛くない。 これっぽっちも。 もう、可愛くて愛おしくて、たまんなくなる。 「どうしよう、和実さんが可愛くて……」 またしたくなった……って続ける隙もなく、和実さんが言いきった。 「しない!」 え。 「ぅえええええ?」 「今回はもうなし。次、会うまで、しねえ。俺がもたん」 ぎゅう、と顔を隠したまま抱き着かれて、オレはますます困った状態になる。 「次も、会ってくれるんだ?」 「あげ足とんなよ。会うに決まってるだろ」 お前は俺の何だ? と、返された。 ぼすっとみぞおちに拳をたたきこまれて、息がつまる。 それでも、照れ隠しだってちゃんとわかるから。 「次が今夜でも、していい?」 「はぁ?! 盛りの付いたサルか、お前は!」 和実さんはますます暴れ始める。 時々「うっ」とか、つまったりしてるのは、腰に響いてるからだろう。 窓の外は、朝の気配が漂い始めてた。

ともだちにシェアしよう!